■ 個人事業主、小規模企業
会計ソフトを必要とする部署がなく、経営者もしくは経営者の奥様が経理を行っているケースや経理に関わる人数もごく少数の小規模企業や個人事業主として会計ソフトが必要な場合には、低価格で操作が比較的簡単なソフトが便利です。青色申告に必要な決算書作成や、法人税申告書の作成などができる機能を備えたソフトも比較的安価で販売されています。
■ 中小企業
会計ソフトで最も多いものが「中小企業向け」の製品です。仕訳、総勘定元帳の作成、決算書の作成など、会計ソフトとしての基本機能を一通り取り揃えております。また、会計ソフトの種類によっては、管理できる会社数や部門登録件数に制限があるものがあります。当然ながら件数が少ないほどコストも安くなってきます。
自社にとって、将来の増加を見据えどの程度の数が必要であるのかを把握しましょう。
また、同じ中小企業向けソフトにも、スタンダード版やプロフェッショナル版といった違うグレードを設けている場合もあります。
■ 大企業
従業員が5,000人を超える大企業の場合には市販の会計ソフトパッケージでは業務が間に合わない可能性もあります。会計ソフトではなくシステムそのものを導入したり、自社で業務規模に適したシステムを構築することが望ましいでしょう。
会計ソフトを選定するにあたり、必ずチェックしたい部分が「操作性」です。
業務を円滑に進めるために導入しても、使い勝手が悪かったり、以前使っていたソフトと違っていて慣れない、なかなか操作を覚えられず、余計に時間がかかってしまっても仕方ありません。
また、会計ソフトには様々な機能があります。現金出納帳への入力をはじめ、帳簿や伝票の作成、元帳への転記、残高試算表や決算書の作成などが主な機能です。
操作性という点からソフトを選ぶ際に、押さえておきたい点は、現在、自社の経理で最も苦労している部分を洗い出すことです。そして、ソフト導入にあたり「既存のデータを導入予定のソフトにインストールしやすいかどうか」という点です。導入時の作業が多ければ多いほど、習得までの時間やコストの無駄につながります。
会計ソフトによっては、インストール作業が少しの手間で済むものや、会社のファイル作成のみですぐに運用できるものもあります。多くの会計ソフトでは、転記作業が自動的に行われる仕様になっています。
現金出納帳に入力した仕訳は現金科目へ、「預金科目」は元帳の「預金科目」の欄へ、一度の入力で自動的に必要な項目に転記されるシステムです。このシステムを利用することで、その都度あちこちに入力しなくてはならなかった項目が、一度の入力で済むようになります。
また、試算表の残高を元に決算書も自動的に作成される製品もあります。
集計作業が自動的に行われるソフトを利用すれば、決算書や消費全身国、固定資産管理、減価償却費の計算が自動的に一つのデータから集計・作成されるようになります。
最後に、会計ソフトの導入は、正常に運用できるまでに多くの余裕・時間をかけられるものではありません。
導入したらできる限り短期間でソフトを活用して経理に取り組めるよう、できる限り操作性に優れたソフトを選択しましょう。簡単に操作できることも重要ですが、さらに重要なことは企業にとって相応しい機能を兼ね揃えていることです。「そのソフトを利用する社員のスキル」も考慮し、操作性が自社のレベルに適切かどうかを熟考する必要があります。
会計処理においての不正やミスは企業の命取りになります。
これまで人の手作業で行ってきた会計部門の起票や入力、計算処理を会計ソフトで行うことで、
セキュリティー面での安全がより確実に守られるようになります。
会計ソフトの中では機能別にアクセス権限をかけることが可能です。
ユーザーや部門ごとにログインできるパスワードや認証システムを設定することで、
セキュリティーの安全が確保されます。部門によって参照は可能であっても入力・編集ができないように設定したり、
一般社員が閲覧できないようロックをかけることもできます。
仕訳作業や承認が必要な機能に関しても、権限の有無を細かく設定することが可能です。
起動、登録、印刷、実行、修正、削除、承認など各種の設定をそれぞれのユーザーに設定することで、
権限を持つ社員だけがそれらの作業を行うように設定できます。
不正はもちろん、権限を持たない社員が間違えて編集をしてしまうといった問題を防ぐことができるのです。
また、ログ管理ができることも会計ソフトの魅力のひとつです。ユーザーIDを割り振り、
誰がいつどのような処理を行ったのかを履歴として残します。それによって安易な改ざんが行われることを防ぎます。
企業が大きくなればなるほど関わる人間が増えるため、セキュリティーシステムの完全性が求められます。
内部統制という意味ではもちろん、安易に外部の人間がログインできないようパスワードも暗号化されるなど
多重なセキュリティー対策を施した会計ソフトが多く販売されています。
会計業務を会計ソフトで行う企業が増え続ける昨今、
セキュリティー対策はますます強固になっていくことが予想されます。
企業規模が拡大するに従って会計ソフトにも拡張性が求められます。
最初は小規模であっても、売上・利益が伸びたり、属する従業員が増加するごとに経理業務で行うべき会計処理や給与計算、各種手続きも増えていくからです。
大企業においては大規模な総合管理システムを導入しているケースも多いかと思われますが、
事業展開や将来の見込みがなかなか読めない段階では、今後、会計ソフトをどのように使用するのかが分からないまま
会計ソフトを選定してしまうことも多いかと思います。
会計ソフトの拡張にはサーバーの処理能力も求められます。すでに使用しているデータ内容をそのまま活かして機能や内容にゆとりをもたせるためにも、まず十分なサーバー性能、容量が必要となります。
そのためにコストもかかりますが、既存のデータを状況によって拡張できるソフトを最初から導入しておけば、
いざというときにもスムーズな変更が可能となります。
登録クライアント数や項目の増加、拠点が増えた場合の遠隔での接続など多くのソリューションが用意されているソフトも存在します。例えば、ERPパッケージなどが挙げられます。ソフトで処理した内容を共通のデータベースに格納し、会計処理にリアルタイムで反映されるものです。さらに、Webサービスを利用した連携が可能であれば、外部システムを利用してWeb上で柔軟なシステム連携やカスタマイズが期待できます。
また、オプションとして同系列の財務システムとデータ連携を取ることで拡張ができる製品もあります。
導入コストはカスタマイズの自由度や拡張性によって大きく変動します。まずは自社の規模に合った製品を選択し、
将来の拡大の可能性を考えて、その製品にカスタマイズ機能があるのか、今後ソフトをそのまま利用して拡張することは可能なのか、といった観点で選ぶことも重要です。
どのようなソフトでもそうですが、製品や製造元企業の「サポート体制」をチェックすることは極めて重要です。会計や財務に関する問題処理は、一刻を争う業務です。
トラブルが発生した際によりスピーディーに対応してもらえるかどうか、不明な点をすぐに確認できるかどうかといった点がソフト選定の大きなポイントになります。
ワードやエクセルといった一般的なソフトと違い、会計ソフトは専門的な知識が必要な場合があります。
「特に知識がなくてもすぐに使える」という簡易性も重要ですが、いざ分からない点やトラブルが発生したときに
満足のできるサポートを受けられる保障があれば安心して使用できます。逆にその保障がないと、大きな心配の種を抱えることにつながります。
会計ソフトのサポート体制には有償のものと無償のもの、期限付きのものなど、様々なバリエーションがあります。
販売しているメーカーのサポート体制を吟味し、実際に導入する際にどの程度までサポートしてもらえるのか、
導入時の説明やサービスはどうであったか、ということも選定のポイントにしましょう。
また、会計や財務業務には、法律、法令も大きく関係しています。
法令が変わった際にソフト内での計算方法も変えなくてはならない場合も多々あります。
メーカーによっては、法令が変わるとすぐに新しい計算システムや書式をインストールできるCD-ROMやWebサービスを配信してくれることもあります。
会計事務所に経理業務を依頼する場合にはトラブルを直接問い合わせることができるのと同じように、
ソフト導入においても、メーカー側に、質問や要望はどのくらい受け入れてもらえるのか、どのくらいのサポート体制が整っているのかを知ることは大切です。
また、ご参考までに当事務所では、最近流行のクラウド会計ソフトの導入支援サービスもございます。
● 経理代行プロサポート福岡 :当サイトのサービス紹介です。
● 会計ソフトの導入サービス :会計ソフトの導入支援のご案内です。
● 財務会計の基礎知識 :専門情報
● 記帳の実践 :記帳、経理の基礎知識です。
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