ソフトウェア開発・IT企業の記帳代行とは?経理の特徴・メリット・依頼先の選び方を解説
「開発や顧客対応に追われ、経理処理が後回しになっている」
「請負開発や保守契約が混在し、いつ売上を計上すればよいのか分からない」
「外注エンジニアへの支払いは多いが、案件ごとの利益を把握できていない」
福岡でも昨今数多く集積しているソフトウェア開発会社やIT企業では、代表者自身がエンジニアや営業を兼務していることも多く、経理業務まで十分に手が回らないケースが少なくありません。
また、受託開発、SES、システム保守、Web制作、アプリ開発、SaaSなど、サービスによって契約内容や請求方法が異なるため、経理処理も複雑になりやすい傾向があります。
本記事では、ソフトウェア開発業・IT業における経理の特徴と、記帳代行を利用するメリット、依頼先を選ぶ際のポイントを分かりやすく解説します。
ソフトウェア開発業・IT業の経理が複雑になりやすい理由

契約によって売上を計上する時期が異なる
ソフトウェア開発業・IT業では、次のようなさまざまな契約があります。
- システムやアプリの受託開発
- エンジニアのSES契約
- Webサイトの制作
- システムの保守・運用
- 月額制のクラウドサービス
- ソフトウェアライセンスの販売
受託開発では、契約締結時、着手時、納品時、検収時など、複数のタイミングで請求が行われることがあります。しかし、請求書を発行した時期と、会計上の売上を計上する時期が必ず一致するとは限りません。
収益は、顧客に対するサービスの提供状況に応じて、一時点または一定期間にわたって認識することが基本となります。契約書、納品書、検収書、作業報告書などを確認し、取引内容に合った処理を行うことが重要です。
契約ごとに処理方法が異なると、売上の計上漏れや二重計上、決算期をまたぐ案件の処理誤りが発生しやすくなります。
外注費や人件費を案件ごとに管理する必要がある
IT企業では、自社の従業員だけでなく、フリーランスエンジニアや外部の開発会社に業務を委託することがあります。
外注費を単純に毎月の経費として記録するだけでは、どの案件にいくらの費用がかかったのか分かりません。案件ごとの利益を把握するためには、売上だけでなく、外注費や担当者の人件費なども案件別に整理する必要があります。
例えば、売上が大きい案件であっても、追加開発や仕様変更によって外注費が増えていれば、実際には十分な利益が出ていないことがあります。
案件別に売上と原価を管理することで、次のような情報を確認しやすくなります。
- 利益率の高い案件と低い案件
- 外注費が予算を超えている案件
- 追加作業が多く発生している取引先
- 継続すべきサービスと見直すべきサービス
正確な記帳は、税務申告のためだけでなく、案件の採算管理にも役立ちます。
自社開発ソフトウェアの支出は判断が難しい
自社で業務システム、アプリ、クラウドサービスなどを開発している場合、開発にかかった支出をどのように処理するかが問題になります。
開発に関係する人件費や外注費を、すべて支出時の経費として処理できるとは限りません。開発の目的や利用方法によっては、ソフトウェアとして資産計上し、一定期間にわたって減価償却することがあります。
国税庁は、自己制作したソフトウェアの取得価額について、適正な原価計算に基づいて算定することを示しています。(文末の参考文献参照)
また、税務上のソフトウェアの耐用年数は、複製して販売するための原本や研究開発用のものが3年、その他のものが5年とされています。
ただし、具体的な処理は、開発目的、販売方法、利用状況などによって異なります。自社開発を行っている場合は、開発途中から支出内容を整理し、税理士などの専門家に確認することが重要です。
クラウドサービスやソフトウェア利用料が多い
IT企業では、一般的な会社と比べて、さまざまなクラウドサービスやソフトウェアを利用します。
例えば、次のような支払いがあります。
- サーバー・クラウド利用料
- ドメイン・レンタルサーバー代
- ソースコード管理サービス
- チャット・プロジェクト管理ツール
- デザイン・開発ソフト
- セキュリティサービス
- オンラインストレージ
- AIサービスの利用料
月額契約だけでなく、年額契約や従量課金もあるため、利用期間や支払内容に応じた処理が必要です。
クレジットカードの利用明細だけではサービスの内容が分からないこともあるため、領収書や利用明細を保存し、どのサービスを何の目的で利用したのか分かる状態にしておきましょう。
請求書や領収書が電子データに集中している
IT企業では、契約書、請求書、領収書、クラウドサービスの利用明細などが、PDFやメール、Web上の管理画面で発行されることが多くあります。
電子メールやWebサイト上で受け取った請求書・領収書などは、電子帳簿保存法に従って電子データのまま保存する必要があります。
データを担当者のメールボックスやパソコンの中に保存したままにすると、経理担当者が確認できず、記帳漏れにつながります。
請求書等の保存場所やファイル名の付け方を統一し、毎月決められた期日までに経理資料を共有する仕組みを整えることが大切です。
ソフトウェア開発会社が記帳代行を利用するメリット

開発や営業などの本業に集中できる
記帳代行を利用する大きなメリットは、領収書の整理や会計ソフトへの入力から解放され、本業に使える時間が増えることです。
IT企業の代表者やエンジニアにとって、開発時間や顧客対応の時間は、会社の売上に直結します。
慣れない経理に毎月何時間も費やすより、記帳を専門スタッフに任せ、開発、営業、採用、サービス改善などに集中できる体制を整える方が効率的です。(特に地元福岡の記帳代行を利用すれば、地域密着で対応してもらえるので安心でもあります。)
売上や経費の計上漏れを防ぎやすくなる
専門スタッフが継続的に帳簿を確認することで、次のようなミスを防ぎやすくなります。
- 売上の計上漏れ
- 売掛金の消込漏れ
- 外注費の二重計上
- クレジットカード利用分の記帳漏れ
- 勘定科目のばらつき
- 消費税区分の誤り
- 個人利用と事業利用の混在
クラウド会計ソフトの自動連携は便利ですが、取引内容まで自動的に正しく判断してくれるわけではありません。
専門スタッフが取引内容や証拠書類を確認することで、クラウド会計の利便性を活かしながら、帳簿の正確性を高められます。
[内部リンク:クラウド会計ソフトと経理代行を組み合わせるメリット]
案件やサービスごとの採算を把握できる
記帳方法を整え、部門や案件ごとに売上・外注費を区分すれば、どの事業が会社の利益に貢献しているのか確認しやすくなります。
例えば、次のような区分が考えられます。
- 受託開発
- SES
- システム保守
- Web制作
- SaaS・月額サービス
- 自社アプリ
- コンサルティング
事業別の利益が分かれば、人員配置、外注先の選定、価格改定、サービスの継続・撤退などの経営判断にも活用できます。
売掛金と資金繰りを管理しやすくなる
ソフトウェア開発では、納品や検収が完了してから入金までに時間がかかる場合があります。
一方で、従業員の給与や外注費、サーバー代などは毎月発生します。そのため、利益が出ていても、入金が遅れることで資金繰りが厳しくなることがあります。
毎月の記帳を早めに完了させ、売掛金の残高や入金予定を確認できるようにすれば、資金不足を早期に把握できます。
月次試算表と資金繰り表を組み合わせることで、採用や設備投資、外注の増加などについても、数字に基づいて判断しやすくなります。
決算や税務申告がスムーズになる
決算直前になって一年分の領収書や請求書をまとめて整理すると、多くの時間がかかります。
取引内容を思い出せず、正しい勘定科目や案件を確認できないこともあります。
毎月記帳を行い、不明な取引をその都度確認しておけば、決算時の修正が少なくなり、税務申告もスムーズに進められます。
記帳代行と税務顧問を同じ会計事務所に依頼すれば、日々の記帳から決算・申告まで一貫したサポートを受けられます。
記帳代行が向いているIT企業
ソフトウェア開発業・IT業の中でも、特に記帳代行が向いているのは次のような会社です。
代表者やエンジニアが経理を行っている
代表者やエンジニア自身が、開発業務の合間に会計ソフトへ入力している会社は、記帳代行による時間削減効果が大きくなります。
経理処理が夜間や休日に集中している場合は、早めに外部委託を検討した方がよいでしょう。
外注エンジニアへの支払いが増えている
外注先が増えると、請求書の確認や支払管理も複雑になります。
外注先別・案件別に費用を整理できていない場合は、記帳方法を見直す必要があります。
複数のサービスを提供している
受託開発、SES、保守、SaaSなど、複数の収益源がある会社では、事業ごとの売上と利益を区分することが重要です。
売上全体しか確認できない状態では、どのサービスが成長しているのか判断できません。
クラウド会計を導入したが使いこなせていない
銀行口座やクレジットカードを連携したものの、未処理の取引がたまっている、同じ取引が重複している、勘定科目が毎月変わっているといったケースもあります。
クラウド会計の設定と記帳代行を組み合わせることで、経理業務を整理できます。
月次の業績が分かるまで時間がかかっている
試算表が完成するまでに数か月かかっている場合、経営判断に使える数字とはいえません。
売上、外注費、人件費、利益、預金残高を早期に確認できる体制を整えることが重要です。
IT企業の記帳代行を依頼する際のポイント

IT業の取引を理解しているか
記帳代行会社を選ぶ際は、単に会計ソフトへ入力するだけでなく、受託開発、SES、保守契約、クラウドサービスなどの取引を理解しているか確認しましょう。
特に、売上を計上する時期や、自社開発ソフトウェアの処理は、決算や税額にも影響する可能性があります。
クラウド会計とオンライン共有に対応しているか
IT企業は、もともと契約書や請求書をデータで管理していることが多いため、クラウド会計との相性がよい業種です。
マネーフォワードクラウドなどの会計ソフトに対応し、Dropboxなどのステージを使って請求書や領収書をオンラインで共有できる委託先を選ぶと、資料の郵送や持参が不要になります。なお、万が一、紙資料の手渡しを想定して、地元福岡の事務所であれば安心感が生まれます。
月次報告や部門別管理に対応できるか
記帳を依頼する目的は、税務申告用の帳簿を作ることだけではありません。
毎月の試算表を早期に作成し、事業別・案件別の利益を把握できるかどうかも重要です。
会社の成長に応じて部門別会計や案件別管理を導入できる委託先であれば、将来的な経営管理にも対応しやすくなります。
税務申告まで相談できるか
売上計上、自社開発ソフトウェア、消費税などについて判断が必要になった場合、記帳作業だけを行う事業者では対応できないことがあります。
会計事務所が運営する記帳代行サービスであれば、記帳から税務相談、決算・申告まで一貫して依頼できます。
記帳代行を開始する際に準備する資料
記帳代行を依頼する際は、一般的に次のような資料を準備します。
- 銀行口座の入出金データ
- クレジットカードの利用明細
- 売上請求書
- 仕入・外注先から受け取った請求書
- 領収書
- 契約書、注文書、納品書、検収書
- 給与関係資料
- 借入金の返済予定表
- 利用中のクラウドサービス一覧
- 開発案件や取引先の一覧
最初からすべてをきれいに整理する必要はありません。
現在どのような方法で資料を管理しているかを確認したうえで、会社に合った提出方法や保存ルールを決めていきます。
ご利用までの流れ
- お問い合わせ
- 現在の経理状況や事業内容をヒアリング
- 契約形態、請求方法、外注状況などを確認
- クラウド会計や資料共有方法をご提案
- 記帳代行サービスを開始
- 毎月の試算表を作成し、経営状況をご報告
すでに経理処理が数か月遅れている場合や、決算が近づいている場合でも、現在の資料状況を確認したうえで対応方法を検討します。
まとめ

ソフトウェア開発業・IT業では、契約によって売上計上の時期が異なることや、外注費・人件費の案件別管理、自社開発ソフトウェアの会計処理など、業種特有の経理上の注意点があります。
代表者やエンジニアが経理まで担当すると、開発や営業に使える時間が減るだけでなく、売上計上や外注費の処理を誤る可能性もあります。
記帳代行を活用することで、経理業務の負担を減らしながら、正確な帳簿とタイムリーな月次試算表を作成できます。案件別の採算や資金繰りを把握できるようになれば、経営判断にも数字を活用できるようになります。
福岡経理代行サポートセンターでは、長年、福岡のソフトウェア業やIT企業と顧問契約を提供してきた会計事務所が記帳代行、給与計算、クラウド会計導入支援、税務顧問、決算・税務申告までワンストップで対応しています。
福岡市を中心に、また、福岡県外でもクラウド会計を活用したオンライン対応も行っています。
「経理にかける時間を減らしたい」
「案件ごとの利益を把握したい」
「外注費や開発費の処理に不安がある」
このようなお悩みがあるソフトウェア開発会社・IT企業の方は、現在の経理状況を整理するところからご相談ください。
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参考情報
- 国税庁「ソフトウエアの取得価額と耐用年数」
- 国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」

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